酵母ビスケットから乳酸菌ビスケットへ。進化しながら愛され続ける超ロングセラーブランド。
ビスコが生まれたのは1933年のことです。当時日本に上陸したばかりのビスケットに、健康に良いとされる酵母を使ったクリームをサンド。国民の栄養改善を目指して発売されたGlico第二の商品でした。時代に合わせて改良を重ね、クリームの中身は、酵母から乳酸菌へ。さらにビタミンやカルシウムも強化され、現在のビスコには、胃の酸に負けずに腸まで届くスポロ乳酸菌が5枚あたり1億個も入っています。2002年にはお姉さんビスコとも呼ばれる「小麦胚芽ビスコ」を、2015年にはさらに幅広い世代に楽しんでいただける「発酵バター仕立て」をラインナップ。85年以上もの間愛され続けるロングセラーブランドです。
固定ファンの多い「定番商品」を変えていく、超が付くほど真面目な商品開発。
ビスコには長期にわたる固定ファンも多く、味や食感を変化させたり新商品を増やすことにはデリケートな配慮が必要です。
2014年に赤い箱のビスコで行なわれた口どけ改革は、実に40年ぶりとなる大きなレシピ変更でした。
栄養にしっかり配慮し、幼い子どもでも安心して食べられる信頼感と、“サクサクとした軽い食感” がビスコのアイデンティティです。その中で、課題であった口どけ“だけ” を改善すべく、開発チームはいちから原料の配合を見直しトライアル&エラーを繰り返しました。最終的に、唾液との親和性を高める技術を深化。この技術の評価は高く、のちにプリッツなどの他の焼き菓子製品にも展開し、レベルアップを図ることができました。
ビスコ3味目の定番商品となった「発酵バター仕立て」の開発では、発酵バターの豊かな風味を生かしながら、毎日食べて飽きない味にすることが課題となりました。発酵バターを加えてもなおサクサクとした軽さと香ばしさを維持し、クリームと組み合わせて最もおいしくなる配合バランスを模索。口どけを良くし香りを際立たせるためオイルコート技術も採用されています。
ミリ単位で焼き上がりをコントロールし、均一の品質を約束する、超精密なレシピ開発。
バターなどの原料が変われば、生地の状態も焼き上がりも変わります。研究室で味づくりに成功しても、1 分間に何千枚ものビスケットが焼かれるラインで同じ味を出すことは容易ではありません。日本中に届けられるその1枚1枚に責任を持つことも商品開発の使命。最終的なレシピは製造担当者とテストを重ねながら決定します。特に、クリームを挟んでタイトピローに包装されるビスコは、ミリ単位の精度が求められる難しい技術。それだけに「思い描いた通りのビスコが初めて生産ラインを流れてきた時はたまらなく嬉しかった」と担当者は語ります。試行錯誤の末に生み出したこれらの商品は市場の評価も高く、ビスコは新たなファンを獲得し始めました。変えないこと、進化させることを見極め両立させながら、誕生100年を見据えた挑戦を続けていきます。