サプライチェーンマネジメント
考え方
公正取引基本方針
グローバルに事業活動を行うGlicoグループでは、GlicoグループのCSRの考え方に基づき、「バリューチェーンを通じて、人権尊重・腐敗防止・競争法等を遵守することにより、付加価値の高い事業活動を推進する」ことを目標に掲げています。それを実現するため、ISO26000および国連グローバル・コンパクトをもとにGlicoグループが公正取引において配慮すべき課題を明確にしたうえで、「Glicoグループ公正取引基本方針」を策定し、2019年4月に発効しました。
Glicoグループ公正取引基本方針
私たちは、当社グループのみならず、バリューチェーンにおいて、各国法令を遵守するとともに以下事項の実現を目指すことにより、高い倫理観に基づく持続的で付加価値の高いグローバルな事業活動を推進します。
- 労働における基本的原則及び権利に反する「強制労働」及び「児童労働」、「雇用及び職業における差別」を排除・撤廃すること。
- 公務員や政治家はもちろんのこと、ビジネスパートナーとの適切な関係を保ち、また、役職員による利益相反取引を避ける等、あらゆる形態での腐敗を防止すること。
- カルテル、談合等の自由な競争を阻害するあらゆる行為に関与せず、お客様へ安心・安全で質の高い商品やサービスを提供することを第一に、市場にて適切な競争を行うこと。
- 資産の有形・無形を問わず、第三者が保有する正当な財産権を尊重した活動を行うこと。
- 上記各項目につき、関係者との間で互いに意識を向上させ、以って、問題発生の未然防止と顕在化した問題への迅速で適切な対応を実現すること。
調達方針
Glicoグループは、事業を通じて社会に貢献し続けるために「Glicoグループ行動規範」を定めています。また、さらなる企業価値向上と社会課題解決への取り組みを推進するため、2019年11月に国連グルーバル・コンパクトに署名しました。これを受けて、2016年3月に制定した「購買基本方針」を見直し、グローバルイニシアティブに準拠した新たな方針として「Glicoグループ調達方針」を定めました。
Glicoグループの調達活動においては、本方針を遵守し、お取引先様等のビジネスパートナーを含むバリューチェーンの皆様にも理解と支持を求めていきます。
Glicoグループ調達方針
Glico グループは、お客様へ安全・安心な商品・サービスを提供するために、法令を遵守し、公正かつ透明性をもった高い倫理観により、お取引先様とともに国連グローバル・コンパクトの定める「人権」・「労働基準」・「環境」・「腐敗防止」の4 分野10 の原則に配慮した調達活動を実施することを目的として、本方針を制定します。
1.私たちは、「Glico グループ公正取引基本方針」に準拠し、関係各国の法令のもと公正・公平で透明な調達活動を実施します。お取引先様とは適切な関係を保ち、互恵取引等、あらゆる形態での腐敗を防止します。
2.私たちは、「Glico グループ人権方針」に準拠し、人権に関する国際規範を支持・尊重した上で、強制労働、児童労働、あらゆる差別等の人権侵害を排除した調達活動を推進します。
3.私たちは、「Glico グループ環境方針」に準拠し、環境に配慮し、持続可能な社会の実現に向けた調達活動を実施します。
4.私たちは、「Glico グループ品質方針」に準拠し、お客様にとっての「おいしさと健康」に繋がる高品質な原材料の探索と確保に向けて、品質最優先の調達活動を実施します。
5.私たちは、品質をはじめとする調達対象の価値を適正に評価し、納期、安定供給などを加えた総合的な判断により、お取引先様の選定を行います。お取引先様に対し、公正・公平な参入機会を提供し、サプライチェーン全体での多様性を尊重します。
6.私たちは、購買取引を通じて知り得たお取引先様の機密情報を守秘します。また第三者の知的財産権などの権利を侵害しません。
お取引先様向け調達ガイドライン
Glicoグループは、「Glicoグループ調達方針」を遵守した調達活動を推進しております。つきましては、お取引先様におかれましても下記調達ガイドライン項目を実行いただけますようお願いいたします。
お取引先様向け調達ガイドライン
Glicoグループは、調達活動の中で国連グローバル・コンパクトの定める「人権」・「労働基準」・「環境」・「腐敗防止」の4分野10の原則を支持、実践することで企業価値を高め、お取引先様と協働で社会へ貢献してまいります。全てのお取引先様は当ガイドラインを貴社内で周知いただき、遵守に向けた取り組みをお願いいたします。
1.内部統制や専任のCSR推進体制の整備等によりコーポレートガバナンスが確立できていること。
2.人権に関する主な国際的枠組み及び規範※1を遵守しており、いかなる差別や人権侵害を禁止していること。
3.労働に関する主な国際的枠組み及び規範※2を遵守しており、「適正な賃金・労働時間」「非人道的な扱い」「強制労働」「児童労働」「不法労働」等を認めないことにより、労働者に安全で健全な労働環境を整えていること。また、従業員の心身の健康の把握・管理を適切に行うこと。
4.環境に関する主な国際的枠組み及び規範※3を遵守しており、持続可能な社会の実現に向けて「温室効果ガスの削減」 「資源エネルギーの効率的活用」「廃棄物の削減」 「水の有効利用」「森林破壊の抑止」「生物多様性の尊重」「動物福祉」等に取り組んでいること。また、環境マネジメントシステムを構築・運用していること。
5.公正な企業活動に関する主な国際的枠組み及び規範※4を遵守しており、「反社会的勢力との関係排除」「あらゆる形態での腐敗防止」「不公正な取引防止」等に取り組んでいること。また、お取引先様に対し、公正・公平な参入機会を提供し、サプライチェーン全体での多様性を尊重していること。
6.品質・安全性に関する主な国際的枠組み及び規範※5を遵守しており、原材料、輸送の品質及び安全性を確保していること。また、研究開発・マーケティングは責任をもって実施され、事業継続計画(BCP)を整備とあわせて、製品の安定供給に対する措置を用意すること。
7.事業活動を通じて得た情報を適切に管理・保護し、コンピュータ・ネットワーク上の脅威に対する防御策を講じていること。また機密情報や個人情報は適正に管理すること。
8.貴社のみならずサプライチェーンを通してCSR調達を実践し、社会的責任を果たすこと。
9.地域社会との取り組みにより持続可能な社会の発展に取り組んでいること。
※1 国連グローバル・コンパクトの10原則、世界人権宣言等
※2 国連グローバル・コンパクトの10原則、ILO中核的労働基準等
※3 国連グローバル・コンパクトの10原則、パリ協定等
※4 国連グローバル・コンパクトの10原則、腐敗防止に関する国連条約等
※5 ISO90001、HACCP等
取り組み
公正・公平な取引の徹底
Glicoグループのパートナーとしてともに歩んでいただく取引先に対し、Glicoグループが目指す高い倫理観に基づく持続的で付加価値の高いグローバルな事業活動に賛同していただくため、Glicoグループが適切と考える条件を取り決めた「取引基本契約書」を締結し、これに基づく取引を行っています。 Glicoグループでは、公正な評価・選定や公平な競争機会を基盤に、国内外の法令に則った公正・公平な取引を行うとともに、取引先との信頼関係の強化に努めています。
安全・安心管理の徹底
グループ品質保証部が中心となり、取引を希望する部門と取引先を連携し、サプライチェーン全体で安全・安心な調達を実現する体制を整えています。
安全・安心管理体制図
取引先との管理システムの共有
「製品情報システム」や「原料納入規格書システム」といった品質管理に関わるシステムの表記統一を図るとともに、今後は、「品質管理プログラム」に統合し、一貫した品質管理体制を構築することを目指しています。また、取引先と協力し、トレーサビリティのデジタル化に取り組んでいます。2019年4月までに取引先から納品される原材料へのバーコードラベルの貼付を必須化しました。さらに2024年4月以降順次QRコードへの切り替えを行い、トレーサビリティ向上への取り組みを推進していきます。
コンプライアンス
Glicoグループは、自社はもちろん、取引先に対しても事業活動を行っている国・地域の法令遵守と倫理的行動を求めています。
独禁法の遵守
国内においては、「独禁法遵守ガイドライン」を策定し、国内グループの関連部門で独禁法教育を実施しており、グループ調達部等を通じて取引先にも遵法活動を求めていきます。
贈収賄防止の取り組み
「公正取引基本方針」に基づいて公人・役人・取引相手との金品の授受による不適切な取引や癒着を排除するため、国内外のGlicoグループ各社において、適切な贈収賄防止規程を整備し、従業員教育を実施しています。
CSR調達
Glicoグループでは、環境や人権に配慮して事業活動を行う取引先からの調達を推進しています。
<持続可能な調達に関するコミットメント>
>> カカオの調達について
>> パーム油の調達について
>> プラスチックの調達について
>> 紙の調達について
環境や人権に配慮した原材料の調達
安全・安心はもちろん、環境や人権にも配慮した調達を推進しています。
カカオ豆調達の取り組み
購入ルートを通じて農家に対する支援を行っているカカオ豆の調達を推進しています。2021年の購入分より、当該カカオ豆の調達比率は100%となっています。さらに、2022年に「カカオの調達について」のコミットメントを発表するとともに、以下の活動を行いました。
(1)児童労働予防・改善の取り組み
2022年に引き続き、ガーナAssin Fosu地区認定NPO法人ACEと連携して以下の取り組みを行いました。
- 2022年に対象15村において実施した基礎調査の結果を踏まえ、特に児童労働のリスクが高いと判断された4村において、ガーナ政府の「児童労働フリーゾーン(CLFZ)」ガイドラインに基づき、児童労働を予防・是正する仕組みの構築を進めました。各村にて啓発ワークショップや世帯登録を実施するとともに、村の住民から構成される子ども保護委員会(CCPC)を設置してモニタリングを実施。これらの活動を通じて、児童労働を含むリスクのある子ども251人を特定し、そのうち一部の貧困家庭の子どもに学用品の無償支給などの是正措置を提供しました。
- 対象村を管轄する自治体(郡)の行政関係者やカカオ購買企業、NGO等を対象としたセミナーを開催し、経験共有と能力強化を図るとともに、連携に向けた協議を行いました。また、郡の社会福祉や教育の関係機関と、コミュニティ支援のための連携体制の強化を図りました。
(2)カカオ生産者・コミュニティの支援
コミットメントに基づき、ガーナのAssin Fosu地区で立花商店と連携し、2023年に自社独自の取り組みとして以下を行いました。
- 生産者コミュニティへの井戸とポンプの提供(2基、2村)、
生産者コミュニティーの井戸とポンプの修理(2基、1村) - 生産者への農機具とトレーニングの提供(電動農薬散布機、防護服セット:70セット、12村)
- 生産者からの買い取り価格上乗せ
(3) 業界の取り組みとの連携
2022年より業界の活動と連携する取り組みを開始しました。
- 開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォームへの参加(独立行政法人 国際協力機構(JICA)主催)
2.「児童労働の撤廃に向けたセクター別アクション」賛同(同プラットフォームの「児童労働分科会」策定)
コーヒー豆調達の取り組み
コーヒー豆の生産地におけるサプライチェーンの環境・社会の持続性に対する配慮から、第三者認証を取得した指定農園・指定生産者団体から調達しています。
- ブラジルの農園では、自然環境に関する教育や自然保護活動を通じて、自然の重要性を伝えるプログラムを実施しています。
- ベトナムの農園では、コーヒーの木へのダメージを軽減させる為にシェードツリー(直射日光を防ぐための背の高い樹木)を植えています。これにより土壌の乾燥を防ぎ、灌漑(かんがい)用水の使用量の削減につながっています。
パーム油調達の取り組み
2019年にRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟し、RSPO認証を受けたパーム油の購入を推進しています。『Pocky』と『Bisco』については、すでにRSPO認証油(マスバランス方式)の使用を開始しています。2025年末までにGlicoグループで生産するすべての商品に展開予定です。
取引先の評価
公正・公平な取引に対する取引先の評価
江崎グリコでは、「Glicoグループ調達方針」に沿って公正・公平な取引が行われているかを確認・検証するために、年1回、調達部門による自己評価、および取引先による調達部門への評価を実施しています。
新規取引先の選定にあたっては、経営、CSRへの取り組み、品質、コスト、納期、サービス等について評価し、最適な取引先を選定しています。既存の取引先に対しても、年1回、同項目について取引先およびGlicoグループが公正・公平に評価を行っています。
取引先とのコミュニケーション
Glicoグループでは、「お取引先様向け調達ガイドライン」の周知・徹底を図るとともに、Webツールを活用した説明会実施等のコミュニケーションを通じて取引先とのパートナーシップを強化しています。