キレイと元気をサポートするアーモンドの力とは

メインビジュアル 高瀬氏、赤星氏2人お写真

(プロフィール)
右:ウォブクリニック中目黒 総院長 高瀬聡子氏
皮膚科、美容皮膚科医。1995年東京慈恵会医科大学卒業、同附属病院本院にて臨床研修修了。96年同附属病院皮膚科に入局、皮膚科診療に従事。アトピー外来・レーザー外来などを担当。2003年ドクターズコスメ「アンプルール化粧品」立ち上げ。07年自身のクリニックを開設。著書に『ゆる美容事典』(講談社)ほか。

左:日経xwomanアンバサダー 赤星昭江氏
株式会社エイブルホールディングス MAISON ABLE代表。1986年山口県生まれ。2009年株式会社CHINTAI入社。雑誌『CHINTAI』編集長を経て、16年にひとり暮らしの女性を応援するブランド「MAISON ABLE」をプロデュース。女性向けのさまざまなサービスを手がける。21年10月より東京と北海道の2拠点生活をスタート。

体に脂肪がつきやすくなった。スキンケアを頑張っても肌が応えてくれない……。年齢を重ねるにつれて、そんな悩みを抱えてしまう女性は少なくありません。規則正しい生活や栄養バランス、睡眠が大切とわかっていても、忙しい現代人がパーフェクトに実行するのは難しいもの。そこで、美と若さのスペシャリスト・高瀬聡子先生に、日経xwomanアンバサダーの赤星昭江氏が、すぐに取り入れたいレスキューポイントを聞きました。

「老化=病気」。だったら予防すればいい!

赤星: 30代半ばから、疲れがだんだん取れなくなってきました。とくに睡眠不足の日の翌朝は肌にハリがなくて、くすみも気になります。

高瀬:20代前半はハードワークや暴飲暴食をしても、体が何とかしてくれます。でも、20代後半になるとリセットが効かなくなり始め、赤星さんくらいの年代になると「疲れ」を実感するようになります。40代になると体のリセット機能が追いつかなくなって「老化」を実感するようになるんです。

赤星:確かに「40歳すぎると、体力が低下する」という声をよく聞きます。それが老化なんですね。

高瀬:おっしゃる通りです。でも美容医療の観点から見ると「老化は病気の一つ」。それなら予防すればいい。そう思いませんか?

赤星:そうですね! これまでは「年をとるのは仕方ない」と思っていましたが、あきらめなくてもいいんですね。

高瀬:ではまず、老化の根本原因から解き明かしていきましょう。キーワードは「酸化」と「糖化」です。

「酸化」とは「細胞がサビる」こと。金属が酸素と接触してサビるのと同じようなことが、私たちの体でも起こっています。細胞は酸素を使ってエネルギーを作りますが、その際に活性酸素が発生します。活性酸素が多すぎると細胞がサビて、体の機能や構造を傷つけてしまうのです。

赤星:酸化すると、どんなことが起こるのですか?

高瀬:細胞のエネルギー生成力が低下して、体力が落ち、疲れやすくなります。肌では、シミやシワ、たるみなどの老化現象に直結していると言われます。他にも、動脈硬化が進んだり、がんやアルツハイマーなどが発生しやすくなったりするんです。

赤星:肌の衰えや体力の低下は、細胞のサビが原因だったんですね。

高瀬:老化のもう一つの原因である「糖化」は、いわば「細胞の焦げ」です。体内にある余分な糖が、私たちの体を構成するたんぱく質と結びつくと「AGEs(エージーイーエス)」という物質が生まれます。AGEsはさまざまなところにくっつき、体の機能や構造によくない変化を起こします。例えば肌の真皮に含まれるコラーゲンにくっつくと、弾力性が失われてシワやたるみを助長しますし、透明度が下がって黄ぐすみが生じます。AGEsは他にも、糖尿病、腎機能障害、動脈硬化などにも影響すると言われています。

「サビ」と「焦げ」を食い止めてキレイをサポート

赤星:自分でも気づかないうちに体内では酸化や糖化が進んで、それが老化や病気につながるんですね。でも、酸化や糖化は防ぐことができるのでしょうか。

高瀬:もちろんです! 覚えておいていただきたいのは、酸化や糖化は一時的なものではなく、誰の体でも日々起きているということ。そのダメージが積み重なると、老化現象として現れてしまう。そうならないために、日々の暮らしの中でこまめにリセットするのが大切です。

赤星:酸化や糖化を防ぐと、肌のアンチエイジングの他に、どんないいことがありますか?

高瀬:抗酸化や抗糖化がきちんとできれば、免疫がうまく働きます。免疫機能を高めることは、感染症を予防する上でも大切です。

赤星:免疫の働きも高められるなら、今すぐにでも抗酸化と抗糖化を始めたいです。何から始めればいいですか?

高瀬:では、抗糖化からお話ししましょう。ポイントは7つです。

抗酸化7つのポイント 説明画像

赤星:(1)から(4)は食事に関するポイントですね。食の重要性がよくわかります。

高瀬:そうですね。糖化の原因は体内の余分な糖ですから、糖を必要以上に増やさないようにすることが大切です。例えば(1)のGI(ジーアイ)値とは、食後血糖値の上昇度を表す指数です。GI値が高い食品は血糖値の急上昇を招くので、GI値が低いもの、例えば、白米よりは玄米、うどんよりは蕎麦というように覚えておいて、積極的に選ぶといいですよ。

赤星:(2)と(3)も血糖値の上昇を抑えるためのポイントですか?

高瀬:はい。空腹が続いた後に食事をすると、血糖値が急激に上昇します。それを避けるにはコンスタントに3食とる、あるいはちょこちょこ食べて、空腹を持続しないほうがよいのです。(3)は血糖値の上がり方をゆるやかにする食べ方です。アルコールとタバコは糖化を進めるので、控えましょう。

赤星:運動は糖を消費するのでOKなのですね。

高瀬:その通りです。ちなみに睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンが出ると細胞がエネルギーを消費するので、余分な糖が減りやすくなります。

赤星:なるほど。正しい生活習慣が大切な理由がよくわかりました。

高瀬:この7つは抗糖化のポイントですが、実は抗酸化のポイントとほぼ同じです。違うのは(1)。抗酸化のためには、ポリフェノールやカロテノイド、リコピンなど、抗酸化力の高いものを食べましょう。例えば、トマトやかぼちゃなど、色あざやかな野菜は抗酸化力が高いんです。彩りよく食べることを意識すると自然に食品の数が増えるので、栄養バランスが整います。

赤星:抗酸化のためにはビタミンEとビタミンCが良いと聞いたんですけど……。

高瀬:ビタミンEとビタミンCは抗酸化に欠かせないビタミンです。ビタミンEが体内にあると、体内で使われたビタミンCを再び効果の高い状態にしてくれるというのはご存じでしたか? この2種類をセットでとると、より効率よく抗酸化できますよ。

赤星:食事で抗酸化力を補いながら、先ほどの7つのポイントを実行すれば抗糖化もできますね。

アンチエイジングを意識したアーモンドミルク活用法

高瀬:赤星さんは抗酸化力の高いものとしてどんな食品をとっていますか?

赤星:私はアーモンドが好きで、朝食ではグラノーラにアーモンドミルクをかけて食べています。アーモンドをそのまま食べて朝食代わりにすることもあります。

高瀬:それは素晴らしいですね。アーモンドにはビタミンEが豊富に含まれています。グラノーラにはさまざまなビタミンやミネラルが含まれているし、アーモンドミルクをかければビタミンEをより多く摂取できます。できればフルーツをプラスすると、さらにいいですね。

赤星:おすすめのフルーツは何ですか?

高瀬:南国のフルーツ、例えばキウイやアサイーは抗酸化力が高いと言われています。また旬のものは、ビタミンやミネラルが豊富なのでおすすめです。でも、忙しい朝はアーモンドをつまむだけでもいいですよ。朝食を抜くと昼食のときに血糖値が急上昇してしまいますから。

赤星:私は今、東京と北海道で2拠点生活をしています。そのため移動時間も多いので、食事が遅くなりそうな時はアーモンドミルクを車で飲んで、空腹をしのいだりしています。アーモンドミルクはおいしいし腹持ちがいいので、1日1本は飲んでいるんです。朝にアーモンドを食べて、間食がアーモンドミルクだととりすぎでしょうか?

高瀬:アーモンドの摂取量目安は1日に25粒程度と言われていますが、30粒程度なら過剰摂取にはなりません。アーモンドミルクはビタミンEがとれますし、砂糖不使用タイプを選べばカロリーが低いので間食に向いています。私も、朝食の時間に子どもの世話をしながら飲んだり、仕事中にコーヒーに入れて飲んで空腹をしのいだりと、しょっちゅう飲んでいますよ。

アーモンドミルクで肥満予防?

赤星:先生も愛飲されているんですね! ただ、アーモンドは脂質が多いのは気になります。

高瀬:アーモンドに含まれる油脂は「オレイン酸」という良質な油です。オレイン酸には抗酸化力や悪玉コレステロールを抑える力があります。それに、私たちの細胞を包む膜は油でできていますから、良質な油はその材料になると考えられ、健康長寿や病気の予防につながります。

赤星:「油は悪者」というイメージが刷り込まれていましたが、いい油、とるべき油もあるんですね。

高瀬:30代になると基礎代謝が落ちて、体に脂肪がつきやすくなります。そこで必要なのがオレイン酸とビタミンEです。血管の壁にコレステロールなどがたまると血流が悪くなって代謝が滞ります。でも、オレイン酸には悪玉コレステロールを抑える働きがあるので、血流をよくするのに有効なんです。さらに、ビタミンEにも血流を促進する働きがあります。

赤星:よかった! これで安心してアーモンドやアーモンドミルクをとれます。

高瀬:アーモンドやアーモンドミルクには、食物繊維も含まれていますよね。食物繊維は便通をよくするので肥満予防につながりますし、糖の吸収をおだやかにするので抗糖化にも役立ちます。ダイエットやアンチエイジングを目指すなら、アーモンドは積極的にとるべき食材ですね。

アーモンドやアーモンドミルクを食生活に取り入れよう

赤星:知らなかったことをたくさん学べて、今日は本当にうれしいです。

高瀬:アーモンドやアーモンドミルクについては、新しい研究も次々に行われています。例えば、私が最近行った試験では、アレルギーの原因物質をすべて除去した生活を8週間続けてもらいました。その上で、1つ目のグループでは牛乳を飲むのをやめてもらい、2つ目のグループではアーモンドミルクを1日200ml、3つ目のグループでは乳酸菌のサプリメントをとってもらいました。その結果、どのグループでも平均して、8週間後にはニキビや毛穴といった肌状態が改善されました。さらに、アーモンドミルクを飲んでいたグループへのアンケートでは、「アーモンドミルクがあると食事制限が続けやすい」という声も上がりました。

赤星:確かに、アーモンドミルクは牛乳のようにとれて便利ですよね。グラノーラにかけたり、コーヒーに入れたり、料理に使ったり……。

高瀬:私はクリームシチューや子どものおやつを作るときに、牛乳の代わりにアーモンドミルクを使っています。うちの子は、アーモンドミルクで作ったほうがおいしいって、喜んで食べていますよ。

赤星:先生がおっしゃる通り、知識があれば食べ方や暮らし方を選択できますね。体の変化を実感した30代をいいタイミングだと思って、食事や生活を見直してみようと思います。