アタマとカラダの運動不足に!「グリコブロック体操」ができました!
みなさん、「グリコブロック体操」はもう体験されましたか?椅子に座った状態で簡単な動作を行うだけなのに、意外と難しくて、楽しいエクササイズ。今回はそんな体操を考案された関西大学人間健康学部の弘原海(わだづみ)剛教授に、運動不足が原因で高まる健康リスクや体操誕生の秘話、さらに体操を楽しむためのヒントなどをたっぷりお話しいただきました!
運動不足は様々なストレスの原因に。
おうち時間が増えた今、何かと気になるのが運動不足。家事やお風呂など、日常生活における最低限の運動量になってしまって、なんだかカラダがダルい……、そんなふうに感じておられる方も多いのではないでしょうか。ところで運動不足によって、私たちのカラダにはどんな変化が起きるのでしょう?そんな問いに、「運動不足の状態が長引けば長引くほど、悪い影響が出てしまいます」と語るのは関西大学人間健康学部の弘原海剛教授。弘原海教授は「運動生理学」や「運動処方」の分野を専門に、これまで数多くの研究を発表。アスリートのパフォーマンス向上を支援するなど、まさに「運動」のスペシャリストです。
関西大学人間健康学部の弘原海(わだづみ)剛教授
「身体活動量が減ることで、体力や筋力、そして血行の低下などが引き起こされます。東洋医学では、まだ病気にはなっていない段階を『未病』と言いますが、そうした状態が長く続けば、やがて糖尿病、脂質異常、高血圧などの生活習慣病を発症することにつながります」
たかが運動不足、されど運動不足。おうちでゴロゴロと過ごすことも楽しいけれど、そんなに注意が必要だったとは……。しかし、弘原海教授はおうち時間の増加による影響は、身体面だけに限らないとも言います。
「家の中に閉じこもることで、家族以外の人と接する機会が少なくなります。コミュニケーションや刺激が減ることは精神面で大きなマイナス。つまり外出機会が減るということは、身体、精神の両方でストレスがかかるんです。だから、おうちにいたとしても適度に運動をする、人と話をする、趣味や芸術でリフレッシュするといった対策が必要です」
「グリコブロック体操」ができるまで。
そんなふうに警鐘を鳴らす弘原海教授が、今回新たに開発に取り組んだのが「グリコブロック体操」。そもそも、この体操はどのような経緯で誕生したのでしょう?
グリコブロック体操
「関西大学では以前から研究をベースにした『健康に効果的な』体操の開発に取り組んでいました。5年
ほど前からは大阪府堺市と関西大学の地域連携事業もスタートしています」
地域連携事業の一環として堺市内7か所の老人福祉センターや介護予防事業などで「堺コッカラ体操」としてブロック体操を実施。健康に効果的なエビデンスを研究でしっかりと確保しながら、楽しんで取り組める体操を通して、市民の健康づくりをサポートしてきました。しかし、その一方で弘原海教授は、誰もが「体操」をもっと手軽に、より身近に体験できる方法について課題を感じていた、とも言います。
一方、研究面では、開発したブロック体操をより楽しく、より効果的なものに進化(発展)させるため、学生達と一緒に研究に取り組んでいました。グリコさんとは、そんな研究・開発の中で出会い、それがご縁で「グリコブロック体操」を作ることになりました。今回のコラボレーションが私たちの体操をさらに広く知ってもらうきっかけに、そしてひとりでも多くの方の健康づくりをお手伝いできる機会になれば嬉しいですね」
これまでの研究成果をもとに組み合わされた、「簡単だけど、ややこしい」動き。
「グリコブロック体操」は、これまでに弘原海教授が研究に取り組んできた「ブロックエクササイズ」をベースに開発されています。
「ブロックエクササイズ」説明動画
「ブロックエクササイズは、関西大学人間健康学部弘原海研究室で、認知機能向上を目的として開発したもの。『簡単だけど、ややこしい』をテーマにしており、体操なのに『頭を使う』ことに重点を置いているのが最大のポイントです」
膝や肩をタッチしたり、手のひらを閉じたり、開いたり。一つひとつの動作は簡単なのに気を抜いたら間違えてしまいそうに。筋や筋肉を伸ばしたり、ほぐしたりするラジオ体操やストレッチ運動とは異なる感覚を得られます。
「簡単すぎると、脳に負荷がかからず、良い刺激になりません。『グリコブロック体操』でも、ほどよく難しくて、達成感を得られるくらいの難易度にこだわりました。今、おうち時間の増加、家族以外の人とのコミュニケーションの減少によって、心身の活動量が減っているわけですが、そのストレスを実際に感じているのは脳。だから、体だけでなく、脳にも働きかけるような運動が大切だと考えています。
関西大学人間健康学部 弘原海ゼミ 学生たちによる「テレワークで体操してみた」動画
ちなみに『グリコブロック体操』のベースとなっているブロックエクササイズで、体操中の脳の血流量を測定したところ、脳の血流量の増加が明らかになりました。つまり脳の活性化が考えられます。これは高齢者の認知症予防だけでなく、子どもの学習意欲、集中力の向上にも期待ができるということ。世代を問わず、みなさんにチャレンジしてもらいたいですね」
「グリコブロック体操」で、たくさん笑って元気に!
簡単だけど、ややこしい「グリコブロック体操」。お手本みたいになかなか上手にできない、そんなときでも「大丈夫」と弘原海教授。「間違うことも楽しんでください。『笑う』ことも、とても良い刺激。笑いは脳の中枢に、良い影響を与えてくれるんですよ」と語ります。確かに『グリコブロック体操』を体験したGlicoの若手メンバーたちも、間違えるたびに大笑い。リズムから取り残されないように必死になったり、いつの間にか右と左が入れ替わっていたり。和気あいあいと悪戦苦闘する姿が印象的でした。「実はブロックエクササイズは一人より、みんなで一緒に行う方がおすすめなんですよ」と弘原海教授。
「失敗する姿を見せ合って笑ったり、隣の人をタッチして触れ合ったりできるのもブロックエクササイズの良いところ。今はなかなかグループで集まりにくいかもしれませんが、オンラインの画面越しでもきっと楽しいはず。コミュニケーションの一環としても、ぜひ『グリコブロック体操』を取り入れてほしいですね」
ココロとカラダ、そしてアタマまで。いろいろと運動不足になりがちな時期ですが、みなさんもぜひ「グリコブロック体操」に挑戦してみませんか?上手にできても、失敗しても、一人でも、みんなと一緒でも、一曲終わればきっと心地いい疲れがココロとカラダ、そしてアタマに残っているはず。毎日の健康づくりにどうぞお役立てください!