商品開発研究所で聞いた「メンタルバランスチョコレートGABA」人気の理由
チョコレートを食べるとなんだかほっとする――。そんな気持ちで、バッグの中やデスクの引き出しにチョコレートをしのばせる女性も多いのでは。
「メンタルバランスチョコレート GABA」は、チョコレートを食べて“ほっとする”気持ちに、機能をプラスすることはできないか? との思いで開発されたもの。2005年の発売以来ずっと、オフィスワーカーをはじめ主婦や学生にいたるまで、たくさんの現代人に寄り添ってきた人気商品です。その開発担当者に「GABA」の秘密を聞いてみました。
【ヒミツ1】チョコレートを食べるとほっとするのはなぜ?
「商品名になっている『GABA』は、γ-アミノ酪酸というアミノ酸の一種の略称です。チョコレートを食べてほっとするという経験は、含有されるこの成分と関係があるのではないかと考えています」と話すのは、商品開発研究所の滝島亨さんと松川広輝さん(松川さんの所属は取材当時)。
γ-アミノ酪酸(GABA)には、事務的な作業による一時的・心理的なストレスを低減する機能があると言われています。もともとチョコレートには、γ-アミノ酪酸が含まれていますが、「メンタルバランスチョコレートGABA」は、さらにγ-アミノ酪酸を濃縮したGABAパウダーを投入。チョコレート100gあたり280mgのγ-アミノ酪酸を含有させることで、より“ほっとできる”チョコレートを目指しました。
γ-アミノ酪酸(GABA)配合チョコレートに立ちはだかる壁
しかし、このパウダーを配合するにあたっては大きな問題がありました。
「GABAパウダーそのものは、発酵したチーズのような味。そのまま加えるだけでは、チョコレートの味わいが損なわれてしまうんです」(松川さん)。これはピンチ!
【ヒミツ2】GABAパウダーの弱点は、どうやって克服した?
GABAパウダーを入れると風味に影響が出てしまう。しかし、おいしさにも妥協はできない。どんな味が求められるのか手さぐりの中で、GABAパウダーが入っていてもおいしいチョコレートへのニーズが高いことが見えてきました。
香料の組み合わせ等を試行錯誤した結果、カカオの華やかな風味を活かした「ビター」と、濃厚なミルク風味を生かし、甘いもの好きな人へ向けた「ミルク」の2種類のチョコレートが生まれました。風味を工夫することで、GABAパウダー本来のマイナスポイントをカバーしたのです。
「GABA」のサイズや形に秘められたこだわり
「GABA」はもともと、オフィスでも食べることを想定したもの。そのため、食べているときに急な電話がかかってきても大丈夫なように考えられています。
「小さめサイズで丸みを帯びた形にしたのは、口の中で転がして頬に避難させやすいから。これなら自然に会話がしやすいと思ったんです」(滝島さん)。
また、球形ではなくサイコロ型なのは、デスクの上をコロコロと転がりにくいようにするため。こうして細部にまで配慮されているのです。
そんな細やかな工夫も手伝って「GABA」は、働く男性はもちろん、女性のお客さまにも受け入れられるように。老若男女を問わず、リラックスを求めるたくさんの人たちに支持されるようになりました。
【ヒミツ3】進化を続ける「GABA」。 お蔵入りした試作の数は?
さらに、発売から10年以上たつ今も好調なのは、時代のニーズを敏感にキャッチして商品を育て続けているから。2016年には、機能性表示食品としてリニューアルを遂げました。
「時代に合わせて商品を進化させています。最近では、これまで隠し味に使っていた洋酒様の風味をおさえて、カカオ本来のおいしさを引き出すよう新しく工夫しました」と松川さん。
10年以上に渡るリニューアルのくり返しによって、お蔵入りした試作はなんと数百種類!!
GABAが長年変わらず愛され続けているのは、数えきれないほどのアイデアの結晶だからなのでしょう。
「おいしさと健康」を追い求める仕事がしたい
こうした商品開発に力を注ぐ松川さん。Glicoで働く理由についてたずねると、「“おいしさと健康”を追求する創業理念に共感したからですね。そんな私にとって、健康を意識したGABAはまさに理想の商品なんです。おいしく食べて、ひとときほっとリラックスしてもらえたなら本当にうれしいですね」と語ってくれました。そんな思いが、これからもGABAを成長させていくのでしょう。