先行限定販売で爆発的ヒット! 「オリーブプリッツ」のマーケティング戦略

プリッツ新発売の裏に市場戦略あり!?

2015年7月にコンビニエンスストアを通じて先行発売し、爆発的ヒットを記録した「オリーブプリッツ」。大好評を受けて2016年3月22日、ついに全国一斉での新発売となりました!そこには一体、どんな開発秘話やマーケティング戦略などがあったのでしょう? マーケティング担当(※所属は取材当時)の三浦啓吾さんにお話を聞きました。

プリッツ史上初! クープ(切れ目)の入ったバゲットのような新製品。

先行発売直後から大きな話題を呼んだ「オリーブプリッツ」。太くて食べごたえのある厚焼き生地に、プリッツ史上初となるクープ(切れ目)が入っています。バゲットのような手作り感もたっぷりで、「これがプリッツ!?」と目を見張る斬新さですが…この発想はどこから生まれたのでしょう?

プリッツ史上初! クープ(切れ目)の入ったバゲットのような新製品。

三浦氏――
もともとプリッツは女性がターゲットのブランドですが、子どものおやつと思われがち。お子さまに喜んでもらえるのはありがたい一方で、大人の女性に向けた新製品が出せないかなと長年、模索を続けていました。ただ、苦さや濃厚さが象徴となるチョコレートなどと違って、何をもって「大人向け」とするかが悩ましかったんですよ。
その突破口となったのが、イタリア独特のスティック状のパンであるグリッシーニ。こだわりのあるスーパーなどでは見かけるものの、パサパサした食感と味わいで、いまいち日本人の文化に根づいていませんよね。だけどプリッツと組み合わせておいしくアレンジできたら、新しい定番商品が生みだせるんじゃないかと考え、開発を進めていました。

大人の女性に楽しんでもらえる上質なオリーブオイルの味わい。

大人の女性に楽しんでもらえる上質なオリーブオイルの味わい。

バケットのイメージにふさわしく、オリーブオイルを利かせたさわやかな味わい。クープ(切れ目)によって味がしっかりとしみ込んでいます。実はグリッシーニというアイデアは何年も前からあったものの、パンのような風味を漂わせながらも、プリッツらしいパリサク食感を出すのが大きな課題でした。
試行錯誤を繰り返した結果、小麦グルテンを練り込んだ生地をしっかりとイースト発酵させ、低温で長時間じっくり丁寧に焼き上げることで、サクサクとした食感と心地よい口どけを実現。浅すぎず深すぎずのクープを入れる技術も、改良に改良を重ねて完成させています。身体にいいオリーブオイルを使い、相性のよいテイストにはまずバジルをセレクト。大人の女性に“自分用のスナック”として食べてもらえる、少量でも満足できる上質なプリッツに仕上げました。仕事や家事が一段落した休憩時間のおやつや、ワインなどお酒のおつまみとして、健康に気遣う女性にも喜んでもらいたい。そんな願いを込めています。

「太いプリッツ」が受け入れてもらえるか、先行販売でチェック!

コンビニエンスストアでの先行販売をスタートさせたところ、各店で品切れが続出! 約4週間の販売期間を予定していたものの、わずか2週間ほどでほぼ店頭から消えてしまいました。これだけの人気が獲得できる商品、わざわざ先行販売をしなくても良かったのでは? という気もしますが…。

三浦氏――
これまでのプリッツのイメージと違いすぎて、需要があるか不安だったんですよ(笑)。もちろん商品自体への自信はありましたが、「太い」という時点でトライアルにまで至らない恐れもあったので…どう評価していただけるか確認したかったんです。

「太いプリッツ」が受け入れてもらえるか、先行販売でチェック!

そんな中、発売1週目の時点で、最近のヒット商品である「超細プリッツ」の2倍以上の個数を販売。おかげさまで8カ月後の正式販売につながりました。先行販売という手法は一長一短。投資のリスクを抑えられる反面、模倣されるリスクがありますからね。なるべく行わないようにはしていたのですが、今回の場合、他社に追随できないレベルにまで技術が突き抜けたので、先行販売を実施しました。結果、「受け入れられないかも」は、杞憂に終わったので良かったです。

グラスに入れてワインのおともに。朝食のバケット代わりにも。

1963年の発売以来、スティックタイプのプレッツェル菓子として長年愛されてきたプリッツ。今までとはまた違う一面を見せる商品になったものの、売れ行きだけでなくアンケート結果も上々! 「また買いたい」という意見が70%以上を占めるなど、正式発売を待ち望む声がたくさん聞かれました。

三浦氏――
ワインのおともとして、「オリーブプリッツ」をグラスに盛りつけた写真がWEB上にアップされるなど、思いも寄らない形で素敵に楽しんでいただき喜んでいます。

グラスに入れてワインのおともに。朝食のバケット代わりにも。

バケットのイメージもあり、なかには「朝食代わりに食べた」という声も。お酒に合うのに、朝にも合うお菓子というのはなかなかないので、我々としても不思議な商品だなと。
それに、奥さんのためやホームパーティ用にと、女性を思い浮かべて買ってくださる男性も結構いらっしゃったんですよね。ターゲットとして想定していなかったんですが、大人の男性でも手に取りやすいデザインになっていたことも功を奏しました。

新技術を「ジャイアントプリッツ」にも応用! 新たな可能性が開花。

太くてもパサパサしない新技術が開発でき、しかも好評を博したことを受け、「オリーブプリッツ」の製法を地区限定発売の「ジャイアントプリッツ」にも応用。約22年ぶりに全面リニューアルし、2016年2月、新製品9種類を発売しました。ご当地の味をより濃厚に味わえるようになったと売上げも好調。満を持して新発売となる「オリーブプリッツ」はバジル味にチーズ味も加わり、期待も高まります。

>>「ジャイアントプリッツ」についてはこちら

新技術を「ジャイアントプリッツ」にも応用! 新たな可能性が開花。

※こちらの製品は販売が終了しています。

三浦氏――
「オリーブプリッツ」では今後、新味も展開していきたいと考えています。ほかにも飲食店での扱いや酒類メーカーとのコラボレーションなど、まだまだ広がる可能性があると思います。長い歴史を持つブランドなので、新しいお客さんを獲得するためには、さまざまな刺激が必要になります。この「オリーブプリッツ」には、「プリッツ」のブランドを引き上げてくれる要素がたくさん詰まっていると感じています。

  • 流行りの健康法や美容法に敏感なコピーライター

    流行りの健康法や美容法に敏感なコピーライター

    三浦彩