亜鉛は味覚を正常に保つのに働き、また皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素で、体の中に約2gあり、主として骨、肝臓、腎臓、筋肉に存在します。
亜鉛は新陳代謝に必要な反応に関係する多種類の酵素をつくる成分となるほか、たんぱく質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写に関わっています。このため、細胞の生まれ変わりが活発なところでは亜鉛が必要とされます。
魚介類に多く含まれていますが、その中でも、かきやうなぎは亜鉛の量が多い食品です。その他、肉類や藻類にも多く含まれています。
亜鉛は不足すると味覚障害が引きおこされることが指摘されています。口の中の味を感じる器官を「味らい(みらい)」といいますが、味らい細胞は新陳代謝が活発なため、亜鉛が不足すると細胞の生まれ変わりに支障をきたし、味覚の低下がおこると考えられます。
ダイエットなどで食事量が少ない状態が続いたり、偏った食事をしていると、亜鉛不足が原因の味覚障害になる可能性があり、近年とくに若い女性での亜鉛不足が心配されています。無理な食事制限には気をつけましょう。一方、高齢者での亜鉛不足は、床ずれの回復が遅れたり免疫力の低下につながるといわれています。亜鉛の多い魚介類や肉類をやわらかく煮るなど食べやすく料理して不足を防ぎましょう。
通常の食生活ではとり過ぎの心配はほとんどありません。ただし、サプリメントなどで誤ってとり過ぎた場合は、同じミネラルである銅の吸収を阻害して銅欠乏性貧血をおこすなどの過剰症があります。摂取量などには十分に注意して適切なご利用をこころがけてください。