コレステロールは脂質の一種で、食品中に含まれ食事によって摂取するものと、私たちの体内でつくられるものとがあります。体の細胞膜や性ホルモンの材料になる大切な栄養成分ですが、とり過ぎなどによって体内に増え過ぎると、生活習慣病をまねくおそれがあります。
私たちの体内の血中総コレステロールには、HDLコレステロールとLDLコレステロールがあります。HDLコレステロールは、血管の余分なコレステロールを肝臓に運ぶことで掃除を行い、動脈硬化を予防することが知られています。一方、LDLコレステロールは肝臓から血管や組織にコレステロールを運ぶ働きをしています。このLDLコレステロールやひいては総コレステロールが増え過ぎ、血管壁に沈着して酸化されると血管は通り道が狭くなったり、つまって切れやすくなったりしてしまいます。これが動脈硬化で、虚血性心疾患や脳血管疾患などをまねく原因となります。
動脈硬化の予防には、LDLおよびHDLコレステロール値を正常に保つことが大切です。日本動脈硬化学会の脂質異常症治療ガイド 2013 年版によると、脂質異常症の診断基準として、コレステロール血症では次の値が示されています(一部抜粋)。
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール140mg/dl以上 |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール40mg/dl未満 |
高トリグリセライド血症 | トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dl以上 |
体内のコレステロールは、およそ3分の2が糖質や脂質を材料にして体内でつくられたもので、あとの残りが食べ物から直接とり込んだものといわれます。つまり、体内のコレステロールは自分でつくる量の方がずっと多く、食事からのコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではないと考えられています。そのため、「日本人の食事摂取基準 (2015年版)」の時から、コレステロール目標値の算定が削除されました。
血中のコレステロール値を適正に保つには、運動をする、肥満を予防する、喫煙をしないなどの要因が大きく影響します。そして食生活では規則正しく栄養バランスのよい食生活をすることが第一です。
自分に適した量のエネルギーをとり、栄養バランスのよい食事をとるのが大切なことです。朝食抜き、まとめ食い、夕食が遅い、といった食習慣も血中のコレステロールを乱す要因になりますから気をつけましょう。