アミノ酸・BCAAで絶好調な毎日を
筋肉作りのメインキャスト、BCAAについて
BCAAという言葉はプロテインなどと同様にスポーツに関係するものとして聞いたことはあっても、どんなものなのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。BCAAが私たちの体でどのように働いているのか、そしてどのような摂り方をするのがよいのかまとめました。
BCAAとは
Branched Chain Amino Acidsの略称で、分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸と呼ばれます。必須アミノ酸にも含まれるバリン、ロイシン、イソロイシンがこれにあたり、私たちの筋肉を構成するタンパク質(筋タンパク質)に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めるなど、筋肉のエネルギー代謝に深く関わっています。
バリン
バリンは比較的多くの食材に含まれる栄養素ですが、なかでもレバー、まぐろの赤身、かつお、チーズ、脱脂粉乳、カシューナッツなどに多く含まれています。
ロイシン
ロイシンは一日の必要量がアミノ酸のなかで最も多いとされています。多くの食品に含まれており、タンパク質をしっかり摂っていれば通常の生活では不足しにくいアミノ酸です。
また、筋肉のエネルギー代謝に関わる以外にも、膵臓からのインスリンというホルモンの分泌を促し、インスリンによる筋タンパク質の合成を促進することが報告されています。
イソロイシン
イソロイシンは、鶏むね肉、鮭、ぶり、まぐろの赤身、チーズ、脱脂粉乳などに多く含まれているアミノ酸です。
必須アミノ酸とは
BCAAは必須アミノ酸に含まれると前述しましたが、そもそも必須アミノ酸とはどういったものなのでしょうか?
体のタンパク質を構成するアミノ酸のうち、私たちはいくつかの種類を体内で合成することができません。これらの体内で合成できないものが必須アミノ酸と呼ばれており、私たちは日々の食事から補う必要があります。
必要なアミノ酸がバランスよく含まれている食べ物には、肉類、魚類、卵、牛乳、豆類などがあり、これらは「良質なタンパク質」と呼ばれています。
詳しくは「タンパク質の不足で起こる諸症状、その症状と対策とは」
年齢別の必須アミノ酸の必要量
年齢別、体重1kgあたりの一日に必要だと推定される必須アミノ酸量を記しています。
自分の必要量を計算してみましょう。
例)体重50kgの成人のバリンの必要量
26mg×50(kg)=1300mg
■タンパク質必要量(g/kg体重/日)に対するアミノ酸必要量(mg/kg体重/日)
年齢(歳) | ヒスチジン | イソロイシン | ロイシン | リジン | トレオニン | トリプトファン | バリン |
---|---|---|---|---|---|---|---|
0.5 | 22 | 36 | 73 | 63 | 35 | 9.5 | 48 |
1〜2 | 15 | 27 | 54 | 44 | 24 | 6.4 | 36 |
3〜10 | 12 | 22 | 44 | 35 | 18 | 4.8 | 29 |
11〜14 | 12 | 22 | 44 | 35 | 18 | 4.8 | 29 |
15〜17 | 11 | 21 | 42 | 33 | 17 | 4.5 | 28 |
18以上 | 10 | 20 | 39 | 30 | 15 | 4.0 | 26 |
引用:「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」策定検討会報告書(厚生労働省)を加工して作成
BCAAと運動の関係
BCAAは、必須アミノ酸のなかでも筋肉で使用される割合が非常に高いため、運動に関わりが深いアミノ酸といわれています。それでは、BCAAは私たちの運動をどのようにサポートしてくれているのでしょうか?
筋タンパク質の分解を防ぐ
運動中の私たちの体は、ブドウ糖、脂肪酸、血液中のアミノ酸などをエネルギー源として利用しています。これらが少なくなると自らの筋タンパク質を分解し、エネルギー源として利用し始めるのですが、この状態が続くと筋力の低下を招くことにつながります。運動時のBCAAの摂取は、それ自体がエネルギー源となるため、筋タンパク質の分解が抑制されると考えられています。
疲労の軽減
長時間の運動で血中のBCAAが低下すると脳内に疲労誘発物質(セロトニン)が増加し、これが原因で脳が疲労を感じるといわれています。そのため、運動時にBCAAの補給をすることは疲労対策に有効であると考えられており、実際に運動前のBCAA摂取で疲労感を軽減できたという報告もされています。
詳しくはこちら「グリコ健康科学研究所 研究&実験アーカイブ」
摂取のタイミングは?
BCAAは運動をする私たちの強い味方です。しかし、より効率的に補給するためには摂取するタイミングも重要です。運動時におすすめの摂取タイミングをご紹介します。
運動前
運動中の筋タンパク質の分解を防ぐためには、あらかじめ血中と筋肉中のBCAAを上昇させておくことが有効だとされています。
BCAAを摂取してからおよそ30分後に血中濃度がピークに達するので、運動30分前に摂取しておきましょう。運動前に摂取しておくことで脳が感じる疲労感を軽減し、運動中の集中力低下を抑えることも期待できます。
運動中
運動中においては筋タンパク質の代わりにエネルギー源となってくれることで、筋タンパク質の分解を防ぐ効果が期待できます。マラソンなどの長時間の運動の場合には、その都度補給をすることで疲労を溜めにくくすることにつながります。
運動後
BCAAを運動後に摂取することで、筋肉量の増加が促進されることが分かっています。筋肉量を増やしたい人は、運動後にも摂取しましょう。運動直後に摂取するほど筋タンパク質の合成率が高いことも報告されています。
過剰摂取の影響は?
BCAAの大部分は筋肉で代謝されるため、内臓への負担は少なく、摂りすぎても副作用はほとんどないといわれています。しかし、長期にわたり摂取することで肝臓、腎臓へ負担をかけてしまう可能性がありますので、過剰摂取には注意しましょう。
また食品で摂る場合には、動物性の食品に多く含まれているので脂肪分も一緒に摂りすぎてしまう可能性もあります。食事のバランスを考えながら摂ることが大切です。
まとめ
このようにBCAAは筋肉の構成に大きく関わっているだけでなく、運動による筋肉の分解抑制や筋肉の増強、疲労感の軽減に役立ちます。タイミングを考えながら運動時に摂取することで、体のコンディション調整やパフォーマンス向上を期待できます。
あなたのスポーツライフにBCAAを取り入れてみてくださいね。
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