酸素の力で呼吸持久力を高めよう
ランニングとジョギングの違いってなに?自分に合ったスタイルを選ぼう
ランニング・ジョギング、同じ「走ること」のように見えるけれど、違いはなに?速く走るのはランニング、ゆっくりはジョギング?
この2つには、走る距離や時間、そして消費カロリーにも大きな違いがあります。目的をはっきり理解して、トレーニングにメリハリをつけてみましょう。
ランニングとジョギングの違いとは
走ること・有酸素運動の共通項があるランニング・ジョギング。
このふたつの間には目的と運動強度によって大きな差があります。
ランニング | ジョギング | |
---|---|---|
目的 | レース出場・趣味 | 健康増進・準備運動 |
運動強度 | 息が弾む~息切れする | 喋りながら走れる |
ウォーキングの延長でゆっくり走るのがジョギング、さらに息が弾み、速く走るのがランニングといえます。
スピードの目安
運動強度の目安を数値で表すのが「METs値」。
国立健康・栄養研究所によって示されているMETs表によれば、ランニングは6.4km/h以上、ジョギングはそれ以下のスピードが目安とされています
心拍数の目安
自覚した運動強度と心拍数の関係からジョギング・ランニングに適した値、今の走りがどちらになっているかわかります。
「きつい」や「楽」という自覚できる強度の他に、体への負担がどれだけかかっているか測れるのが心拍数です。
心拍数の目安はカルボーネン法の計算式を用いて算出することができます。
目標心拍数=(最大心拍数※-安静時心拍数)×目標係数(%)+安静時心拍数
※最大心拍数=220-年齢
脂肪燃焼・ダイエットに適したジョギングは目標係数に40~60%、トレーニングに適したランニングは60~80%を当てはめて計算します。
50歳、安静時心拍数70の人を参考に例を上げてみます。
- ジョギング時(脂肪燃焼・ダイエット)
(220-50)-70×0.4~0.6+70=110~130拍の間で行うことが適切 - ランニング(トレーニング)
(220-50)-70×0.6~0.8+70=130~150拍の間で行うことが適切
運動中での心拍計測は手首に指をあてて測る方法(※)でよく行われますが、ハートレートモニター(心拍計)があればぜひ活用してみましょう。手軽に、より正確なデータをとることができます
※3本の指(人差し指・中指・薬指)で反対側の手首内側にある動脈で計測。10秒間の数値に6をかけた数値が1分間の脈拍数。
適切な運動であれば自覚度と心拍数が比例していくのが目安といわれています。運動に慣れていないときは自覚症状と運動強度にどうしても差が出てきます。
自分ではきついと思っていても、実はそれほど体への負担はかかっていなかったり、予想以上に高強度になっていたりするかもしれません。
*1 出典:糖尿病ネットワーク、運動処方:どんな運動を、どれくらい(2)
【参考】主観的運動強度 Ratings of perceived exertion(RPE)
標示 | 自覚度 | 強度(%) | 心拍数(拍/分) |
---|---|---|---|
20 | もうだめ | 100.0 | 200 |
19 | 非常にきつい | 92.9 | |
18 | 85.8 | 180 | |
17 | かなりきつい | 78.6 | |
16 | 71.5 | 160 | |
15 | きつい | 64.3 | |
14 | 57.2 | 140 | |
13 | ややきつい | 50.0 | |
12 | 42.9 | 120 | |
11 | 楽に感じる | 35.7 | |
10 | 28.6 | 100 | |
9 | かなり楽に感じる | 21.4 | |
8 | 14.3 | 80 | |
7 | 非常に楽に感じる | 7.1 | |
6 | 安静 | 0.0 | 60 |
出典:日本健康運動研究所、健康づくりに役立つ運動
体にかかる負担
ウォーキング時には必ず両足のどちらかが接地しているのに対して走る動作のジョギング・ランニングは必ず両足が浮く瞬間があります。
ジョギングからランニングに移行するとき、スピードが上がるのと比例して地面を蹴る力も強くなるため、ランニングのほうが体にかかる負担が大きいといえます。
走るスピードが増すほど、体を安定させるために腕をしっかり振り、上半身を保つことが求められます。背筋をしっかり伸ばすことで深い呼吸ができるようになり、スピードを出すのに必要な酸素を十分に取り込めるようになります。
それぞれの消費カロリーの違いは?
消費カロリーは次の式で計算でき、運動強度が高く、時間が長い方がより多くのカロリーを消費します。
エネルギー消費量(kcal)= 強度(メッツ)x 時間(h)x 体重(kg)x 1.05
ウォーキングよりも走った方がカロリーを消費する
同じ時間のなかで運動するなら、ウォーキングよりスロージョグ、ランニングにして距離を伸ばしていくのがカロリー消費量を増やす近道です。
種目による消費カロリーの違い(体重60kgの場合)
METs値 | 消費カロリー(1時間・kcal ) | |
---|---|---|
ウォーキング(約3km/h) | 2.8 | 176 |
ジョギング(約5.5km/h) | 4.3 | 270 |
ランニング(約8km/h) | 8.3 | 522 |
とはいえ、スピードを上げると、きつく感じて運動が続かなくなる要因のひとつにもなります。少しずつ動く量を増やし、スピードは変わらず距離を伸ばしていくことが、継続できる方法です。
目的別の使い分け方
「ジョギング」は準備運動の意味合いとして使われます。
ウォーミングアップのなかでランニングに必要な動きをゆっくり作っていくのは、ジョギングのスピードだからこそ可能なことです。体を温め、可動域も上げることができるので、まだ走ることに慣れていない初心者のうちはジョギングだけでも十分な運動になるでしょう。
そして、トレーニングとして使われるのは「ランニング」といえるでしょう。体力づくりやレースに向けてなど身体にある程度の負荷をかけて行うときに使われます。
まとめ
毎日の体調やスケジュールのなかで、適した強度をしっかり設定するのは実はとても難しいことです。
自覚する強度だけではなく、スピードや心拍数なども参考にしてみましょう。
自分でペースや距離を選べるのも、ジョギングとランニングの楽しさの一つ。
ジョギングから始めた人も、少しずつランニングの領域に足を踏み入れてみましょう。
毎日速いペースで走っているランナーは、時折ジョギングを取り入れると、疲労が抜けていくことに気付くはず。
どちらにとっても継続できることが一番です。そのときの自分の体調に合わせて、ランニングとジョギングを上手に取り入れてみましょうね。
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