タンパク質の摂りすぎは危険!?過剰摂取による影響とは

健康なカラダ作りはタンパク質から

筋肉を作るには筋トレだけでなくタンパク質を摂ることも肝心。だからといって、たくさん摂ればよいというものではありません。タンパク質の極端な過剰摂取にはどのような影響が考えられるのでしょうか。

タンパク質と体の関係

タンパク質が筋肉を作りたいときや強化したいときに欠かせない栄養素であることはよく知られていますよね。しかし、実際に体内ではどのような働きをしているのでしょうか?

厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」によれば、1日あたりのたんぱく質維持必要量は全年齢区分で0.66g/kg体重/日と定義されています。また、一日あたりのたんぱく質は、成人男性(18~64歳)で65g 18歳以上の成人女性は50g摂ることを推奨されています。また妊娠中の方、成長期の子どもなどでは必要な摂取量が異なります。

タンパク質が不足してしまうと病気になりやすくなる、成長期に十分な成長が望めなくなるといった可能性が考えられます。逆に摂りすぎると、消費しきれないエネルギーで太ってしまうことも。

タンパク質の働き

私たちの体のなかには、約3~10万種のタンパク質が存在するといわれています。そして非常に多くのタンパク質が、それぞれ独自の働きをしています。
体を動かすことはもちろん、栄養や酸素の運搬や免疫機能を保ち、私たちの体を守る働きもあります。
このように体の構造・機能の維持や、体内で触媒や酵素になるものもあり、その働きは多様です。

筋肉を作る仕組み

タンパク質が十分に体のなかにあるときに運動などで筋肉を刺激すると、筋肉の組織にタンパク質が吸収されやすくなります。そうするとタンパク質の合成が促進され、筋肉が発達しやすくなります。タンパク質を取り込み筋肉がつくられる作用を「同化作用(アナボリック)」と呼びます。
体のなかに十分なタンパク質がない場合、同化作用(アナボリック)を起こすために必要なタンパク質を確保しにくくなります。その際に必須アミノ酸やBCAAの一種であるロイシンを摂取することは筋肉を合成するために効果的です。これらのアミノ酸を摂取することは筋タンパク質の合成を刺激し、同化作用を促すことが最新の研究で分かっています。

タンパク質を摂りすぎると

タンパク質の過剰摂取で健康を損なってしまったという十分な研究結果はありません。ただし、好ましくないさまざまな代謝変化が生じたという報告があるように、極端な過剰摂取は体に影響を及ぼす可能性があります。考えられる体への影響について解説します。

内臓疲労

私たちが摂取したタンパク質は、体内で合成と分解を繰り返します。その過程において、食事から摂ったタンパク質のうち余った(過剰な)ものは分解されて窒素となります。

窒素を体外に排泄するためには、肝臓・腎臓の働きが必要です。体内の分解過程で必要なくなった窒素はアンモニアに変わります。アンモニアは私たちの体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な尿素に変換されたのちに腎臓で尿として排出されます。

このときにタンパク質を過剰に摂取してしまうと、その分多くの窒素を尿に変換しなければならなくなります。そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こしてしまう可能性があるのです。

カロリーオーバー

タンパク質が豊富な食品、特に肉や卵は比較的カロリーが高いです。タンパク質をもっと多く摂りたい一心で、たくさん食べてしまうと結果的にカロリーオーバーとなり肥満を招くということにもなりかねません。

カロリーをおさえつつ高タンパクを意識することはとても大切。そのためには脂肪分の少ない食品を選ぶ、油を必要以上に使わないといったことが大きなポイントです。
食材や調理法を工夫して、高タンパク低カロリーの食事を心がけましょう。

尿路結石のリスク

尿路結石とタンパク質。
これらは一見なんの関係もなさそうですが、尿路結石の原因の一つに動物性タンパク質の摂りすぎがあります。

代表的なシュウ酸カルシウム結石を例に解説します。
主に肉などの動物性タンパク質は、摂取すると体のなかでシュウ酸や尿酸などの物質が体内に増加します。このうちのシュウ酸にはカルシウムと結合しやすい性質を持ち、腸の中でカルシウムと結びつくことで便として体の外へ排泄されます。
このとき、腸で吸収しきれないシュウ酸は尿として排泄されます。シュウ酸が尿に含まれるカルシウムと結合してしまうと、石のようなかたまりとなって排泄されにくくなり尿管を詰まる原因となるのです。

腸内環境の乱れ

私たちの腸管、主に大腸には100種類以上、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。これらは善玉と悪玉、どちらでもない中間の菌と大きく分けて三つのグループで構成されます。一番多いのは中間の菌、次に善玉菌。悪玉菌はわずかといわれています。

動物性タンパク質を摂りすぎると、体に吸収されなかったタンパク質がそのまま腸内に送り込まれます。腸内に贈られたタンパク質は悪玉菌のエサになってしまうので腸内環境の乱れが発生しやすくなります。
本来、一番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうと腸の運動が弱まり、食中毒菌や病原菌による感染の危険性、発がん性を持つ腐敗産物が多く作られてしまう可能性があります。

あなたの腸内細菌が健康的な状態であるかどうかを知るには、便を観察してみてください。色は黄色、もしくは黄色がかった褐色です。多少のにおいがあっても臭くはなく、バナナのような形で柔らかいものが理想とされています。逆に黒っぽく嫌な臭いがある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態といえます。
腸内に腐敗産物が増えると口臭や体臭の原因になると考えられているため、気をつけたいですね。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」

タンパク質を上手に摂取しよう

なるべく過不足がないようにタンパク質を摂取するにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、どの食品にどれくらいのタンパク質が含まれているのかを知りましょう。

食品100gあたりのタンパク質量

食品 タンパク質量(g)
米(精白米) 6.1
ぶた(大型豚種)ばら(脂身付き、生) 14.4
うし(和牛肉)ひれ(赤肉、生) 19.1
にわとり(成鶏肉)もも(皮付き、生) 17.3
あゆ(養殖、焼き) 22.6
まぐろ(缶詰、油漬け、フレーク、ライト) 17.7
キャベツ(結球葉、生) 1.2
だいこん(根、皮むき、ゆで) 0.5
じゃがいも(塊茎、皮なし、蒸し) 1.9
だいず(全粒・全粒製品、黄大豆、国産、乾) 33.8
りんご(生) 0.2
鶏卵類(全卵、生) 12.2
普通牛乳 3.3
ヨーグルト(全脂無糖) 3.6
無塩バター 0.5
コーヒー(インスタントコーヒー) 14.7

引用:「食品成分データベース」(文部科学省)を加工して作成
このデータベースは、文部科学省が開発したものであり、試験的に公開しているものです。

高タンパク・低カロリーの食事を

高タンパク・低カロリーの食事をするにあたって、食材は鶏胸肉やささみ、豚ヒレ肉などの脂身の少ない肉類や魚、またはカッテージチーズなどの脂肪分の少ない乳製品を選ぶとよいでしょう。

日々の生活で揚げ物ばかりを好んで食べたり、ソースやマヨネーズなど調味料をたくさんつけたりしていませんか?調理法や調味料も一工夫してみましょう。
ゆでたり蒸したりする調理法は余分な油分を摂取せず、タンパク質をより効率的に摂ることができます。また、揚げ物の衣や調味料に含まれる油分は、見えないカロリーとして体にたまってしまいがちです。
意識しないうちに摂ってしまっているカロリーにも気をつけたいですね。

プロテインは強い味方

肉体強化やダイエットに特化したものなど、多彩なラインナップがそろうプロテインを上手に利用しましょう。自分の目的に合ったプロテインを選び、運動前後・就寝前など、適したタイミングで取り入れてみてください。

詳しくはこちら「プロテインを飲むタイミングはいつがベスト?」「プロテインダイエットの正しい方法、食事の置き換え方は?

まとめ

忙しい現代社会を生きる私たちにとって、どうしても不足しがちなタンパク質。必要な栄養素ではありますが、過剰な摂取は体への大きな負担を強いてしまい、逆効果になる可能性も。
しかしタンパク質の必要量は個人によってさまざまです。それぞれの運動量、生活強度によって積極的なタンパク質の摂取が大いに手助けになってくれるでしょう。
タンパク質の効果を上手く取り入れ、毎日をエネルギッシュに過ごしませんか?

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