災害対策コラム
日本災害食学会顧問 甲南女子大学名誉教授 奥田 和子氏

日本災害食学会顧問
甲南女子大学名誉教授

奥田和子 氏

テーマ: 災害備蓄食のあり方について 第2回(全3回)

さらに押さえておきたい備蓄の10ポイント

  • 1.封を切ったらすぐ食べられるもの(加熱が不要なもの)
  • 2.個々人に分配しやすいもの
  • 3.残食、汁気、包装ゴミの少ないもの
  • 4.混雑がおさまったら主食、おかず(魚・肉)、おかず(野菜)、おやつ(甘い物)など日常の食事に近づける。甘い物には災害時の不安やストレスを和らげる効果があります。
  • 5.同じものを繰り返したベルト飽きがくるので、バラエティをもたせる。
  • 6.健康弱者(アレルギー、病気など)は自分用として特に入念に準備する(混乱時は自分だけが頼り)
  • 7.被災生活は3日では終わらず長期化する。その間の食事環境(電気やガス、水道の回復)の変化に合わせて食事内容も変化する。したがって災害食を時系列で考えることが大切。
  • 8.自助、共助(主に炊き出し)、公助(弁当の配給)の3つの時期にそれぞれふさわしい飲食物を備蓄することが望まれます。
  • 9.(会社・団体の場合は)長期保存できるもの
    (家庭・個人の場合は)6カ月以上保存できるもの
  • 10.(家庭・個人の場合は)ふだん使いの食べ物や飲み物に災害備蓄用を加えて多めに買い、ふだん用に飲食しながら減った分を買い足して補充する。これを「ローリングストック」といいます。

時系列で考えた備えの例

発災直後3日間<自助>

不燃性の非常持出袋に封を切ってすぐに食べられるもの+飲み物を準備しておく。(写真は準備の一例)

発災1週間<自助>

封を切ってすぐに食べられるもので、朝・昼・夜3食のメニュー化
(主食、魚・肉と野菜の副食、デザートのバラエティ)

一日分の献立例
  主食 魚・肉 野菜 デザート
缶入りビスケット シーチキン ごもく豆 みつ豆
レトルト粥 サバ缶 筑前煮 ビスケット
アルファー化米 レトルトカレー ミカン缶

1ヶ月後~<共助・公助>

被災者で力を合わせて炊き出し(ご飯+おかず、例えばカレーライスなど)。 野菜が不足しがちなので炊き出しで補助する(共助)。1ヶ月~2ヶ月にかけては、弁当支給などの公助もスタートする(公助)。

※さて、うまくできそうですか?
たとえば、なじみの深い「ビスコ」、「温めずに食べられるカレー職人」などは、災害直後で水や熱源が乏しいときでもおいしく食べられるので特におすすめです。
また、ご飯を炊くときに混ぜ込む「炊き込みご飯の素」や「レトルト丼」などもあります。これらを製品の汁気を水の代わりとしてアルファー化米に注いでも、おいしく食べられます。
これらでぜひ予行演習をして、いざ災害の時でも慌てなくてすむようにしたいものです。らっきょうや福伸漬けもそえると、なおおいしいですよ。