みんながクッキーと呼んでいるお菓子は、本来はビスケットの一種なんだ。ビスケットは英語でBiscuitと書くんだけれど、これはラテン語で、2度焼いたパンという意味を表すんだよ。ヨーロッパでは古代から、航海(こうかい)や遠征(えんせい)のための食糧(しょくりょう)として日持ちをよくするために、パンを乾かしてもう1度焼いたものを持ってでかけたんだ。手軽においしく持ち運びも便利なため、すぐに広まったようだよ。これがビスケットの誕生だといわれているよ。
ビスケットの語源にはこんな話もあるよ。フランスとスペインの間にあるビスケー湾で一隻(いっせき)の船がひどい雨風で岸にうちあげられたんだって。なんとか助かった船員たちが、船内に残っていたわずかな小麦粉や砂糖、バター、卵などをかき集めてこね合わせ、たき火の上にはがれた鉄板をのせて焼いて食べて、救われたそうなんだ。そのときの味が忘れられず、焼き方を工夫して作られるようになったんだ。これをビスケー湾にちなんでビスケットと名づけたんだって。
現在に近いビスケットが本格的に作られるようになったのは16世紀だよ。ヨーロッパの宮廷(きゅうてい)で盛んに食べられるようになって、色々な味や種類のものが作られていったんだ。日本には南蛮菓子(※)の中にビスカウトの名前で伝わったという記録が残っているよ。
現在日本では、糖分や脂肪(しぼう)分の合計が40%以上含まれていて、手作り風の外観をもっているものをクッキーと呼んでもいいという決まりがあるんだよ。
ビスケットについてもっと知りたい人は社団法人全国ビスケット協会のホームページもみてね。
(※)南蛮菓子(なんばんがし):安土桃山時代に外国から輸入された菓子のこと
参考資料 柴崎勝弥『お菓子の百科』光琳書院出版 三浦基弘『身近なモノ事始め事典』東京堂出版
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