でんぷんってなに?
でんぷんとは、植物が空気中の二酸化炭素と水から太陽の光のエネルギーをかりて作り出す(これを光合成(こうごうせい)といいます)物質(ぶっしつ)のこと。炭素(たんそ)と水素(すいそ)と酸素(さんそ)からできているよ。 実は、砂糖(さとう)も同じものからできていて、ブドウ糖(とう)という砂糖の仲間がたくさん集まってできたものをでんぷんというんだよ。
でんぷんの種類
でんぷんには、主に下の種類があるよ。これからそれぞれのでんぷんについて説明していくよ。
タピオカでんぷん
タピオカでんぷんとは、トウダイグサ科のキャッサバの根茎(こんけい)からとれるでんぷんだよ。長さ約30cm程に切ったくきを畑につきさすだけで育ち、約1年で収穫(しゅうかく)できるんだよ。主に熱帯域(ねったいいき)(特に東南アジア)で栽培(さいばい)されているんだ。タピオカでんぷんは、モチモチしていて、透明(とうめい)でとてもキレイなので、主にわらびもちなどに使われているんだ。アジアのデザートに、プチプチした透明の丸いものが入っていたら、それもタピオカ(タピオカパール)とよばれているんだよ。
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タピオカでんぷん(倍率:1500倍)
タピオカでんぷんを顕微鏡(けんびきょう)でみた時の写真だよ。お寺の鐘(かね)の形をしているのが特徴(とくちょう)なんだ。
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タピオカミルクティー
これは東南アジアでよく飲まれているデザートジュースでミルクティーの中に黒いタピオカパールが入っているよ。中華(ちゅうか)料理屋さんやカフェなどでも見かけるよね。
小麦でんぷん
「小麦でんぷん」は小麦からとれるでんぷんだよ。小麦は世界一生産量の多い穀物(こくもつ)で、米、とうもろこしとならんで「世界三大穀物」と呼ばれているよ。「小麦でんぷん」は別名「浮き粉(うきこ)」とも呼ばれるんだ。
小麦は製粉されて小麦粉として売られているのはみんなも知っているね。小麦粉に水を加えて生地にした後、水の中で洗ってあげると小麦でんぷんとグルテンに分けることができるよ。小麦でんぷんはかまぼこやおかしに、グルテンはパンや麺(めん)にと、さまざまな食品に使われているんだ。みんなも小麦粉から小麦でんぷん、グルテンを作ってみてね。なお、小麦粉からグルテンを作る作り方は、こちらのグルテンのページで紹介しているよ。
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小麦でんぷん(倍率:1500倍)
小麦でんぷんを顕微鏡(けんびきょう)でみた時の写真だよ。だ円形で大きな粒と小さな粒があるのがわかるかな。大粒子と小粒子を分けることでそれぞれの特徴(とくちょう)をうまく使うことが出来るよ。
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ういろう
名古屋のお土産として有名な「ういろう」にも小麦でんぷんが使われているよ。また意外なところでは、小麦でんぷんを「のり」にしてねかせたものを「古糊(ふるのり)」と言って、掛け軸(かけじく)や絵画の修復(しゅうふく)に使われているんだ。
馬鈴薯(ばれいしょ)でんぷん
馬鈴薯(ばれいしょ)でんぷんとは、みんなもよく知っているじゃがいもからとれるでんぷんだよ。じゃがいもは土の中に出来るけど、実は根じゃなくて茎(くき)っていうことは知ってるかな?南アメリカがふるさとだって言われているけど、今では世界のさまざまな地域(ちいき)で栽培(さいばい)されているよ。 日本には1600年ごろにオランダ人がジャカルタから持ってきたから「ジャガイモ」って呼ばれるようになったんだ。同じころ中国にも伝わって、形が馬の首につけるすずに似ていたことから馬鈴薯とも呼ばれるようになったんだ。
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馬鈴薯でんぷん(倍率:1500倍)
馬鈴薯でんぷんを顕微鏡(けんびきょう)でみた時の写真だよ。 だ円形になっているのがわかるね。
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大福
馬鈴薯でんぷんはかまぼこにも使われていて、弾力(だんりょく)を良くする効果があるよ。また、餃子(ぎょうざ)の皮のうち粉にも使われているし、大福の表面についているきらきらした粉も馬鈴薯でんぷんなんだ。
コーンスターチ
(とうもろこしでんぷん)
「コーンスターチ」というのはとうもろこしのでんぷんという意味だよ。とうもろこしの歴史は古く、1万年も前に栽培(さいばい)されていたと言われているんだ。ずっと昔から食料として利用してきて、その長い歴史の中でスイートコーン、デントコーン、ワキシーコーンなどたくさんの品種が作られてきたんだ。その中でもワキシーコーンは別名モチトウモロコシと呼ばれて、加熱するとでんぷんのねばりが出て、モチモチとした食感になるんだ。
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コーンスターチ(倍率:1500倍)ワキシーコーンスターチ(倍率:1500倍)
コーンスターチとワキシーコーンスターチを顕微鏡(けんびきょう)で見た時の写真だよ。角ばった小さな粒をしているのがよくわかるね。
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プリン
コーンスターチはプリンなどの凝固剤(ぎょうこざい:固める材料)としても使われているし、食品以外でもアルコールの原料や「のり」にも使われているよ。だ円形で表面が層(そう)のようになっているのがわかるね。
米でんぷん
米でんぷんはお米からとれるでんぷんだよ。 もち米からとれるでんぷんは白玉粉と言って大福やだんごなどたくさんの和菓子に使われているよ。今回はみんなもよく知っている日本人の主食のお米(ご飯)からとれるでんぷんを紹介(しょうかい)するよ。稲作(いなさく)は、古くは弥生(やよい)時代から行われているけど、米でんぷんの製造(せいぞう)が国内で始まったのは昭和に入ってからなんだ。原料の玄米(げんまい)の皮を取って白くし、たんぱく質を取りのぞいて製造されているよ。取りのぞいたたんぱく質は、飼料(しりょう)にすることもできるんだ。
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米でんぷん(倍率:1500倍)
米でんぷんを顕微鏡(けんびきょう)で見た時の写真だよ。細かくて角ばった粒(つぶ)が集まっているね。米でんぷんはでんぷんの中では最も小さな粒子(りゅうし)なんだ。
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卵焼き
お弁当のおかずでおなじみの卵焼きにも米でんぷんが使われているよ。 米でんぷんのおかげで卵焼きがふっくらするんだ。食品以外でも印画紙(いんがし)や化粧品(けしょうひん)にも使われているよ。 小さな米でんぷんの粒子は凸凹(でこぼこ)した面にくっついて、平らでなめらかな面をつくることができて、きれいに文字が印刷(いんさつ)できたり、お化粧(けしょう)の仕上がりをよくしたりするんだ。
サゴでんぷん
サゴでんぷんとは、サゴやしといって、ヤシ科の植物からとれるでんぷんだよ。幹(みき)の直径は約70~80cmで、高さは15~20メートルにもなるんだよ。主に東南アジアを中心に栽培(さいばい)されているんだ。サゴでんぷんは、木の幹に1本当たり200~400kgをこえるたくさんのでんぷんがたくわえられているんだよ。また、このサゴヤシは10年もかけて、でんぷんをたくわえていくんだ。
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サゴでんぷん(倍率:1500倍)
サゴでんぷんを顕微鏡(けんびきょう)でみた時の写真だよ。細長い釣鐘型(つりがねがた)で、てんとう虫のような形が特徴(とくちょう)だよ。
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そば
うどん屋さんやそば屋さんでよく見かける、生うどんや生そばに白い粉がついているよね?それが、うち粉なんだ。うち粉には、サゴでんぷんが使われていることが多いよ。これは、麺(めん)と麺がくっつかないようにうち粉がふってあるんだ。
甘藷(かんしょ)でんぷん
次に取り上げるのは「甘藷(かんしょ)でんぷん」。漢字がちょっと難(むずか)しい けど、「藷」という字は「イモ」という意味なんだ。つまり甘いイモ、サツマイモからとれるでんぷんなんだよ。サツマイモの起源(きげん)は南アメリカ大陸と言われていて、日本には中国を経て沖縄から鹿児島へと伝わったんだ。本州では薩摩(さつま:鹿児島)から伝わったイモだから「サツマイモ」と呼ばれているけど、鹿児島や沖縄では唐(とう:昔の中国)から伝わったイモということで「唐芋(からいも)」、九州北部では琉球(りゅうきゅう:沖縄)から伝わったイモということで「琉球イモ」とも呼ばれているよ。
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甘藷(かんしょ)でんぷん(倍率:1500倍)
甘藷でんぷんを顕微鏡(けんびきょう)でみた時の写真だよ。角ばったものや、釣鐘(つりがね)の形をしたものがあるのが特徴(とくちょう)だよ。
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わらびもち
和菓子としておなじみのわらびもちにも
甘藷でんぷんが使われることもあるよ。
加工デンプン
加工デンプンとは?
植物からとったでんぷんはいろいろな食品に使われているけど、熱をかけて混ぜているとねばりがなくなってきたり、冷蔵や冷凍するとかたくなっておいしくなくなったりすることもあるんだ。そんな欠点をカバーしたり、食品をよりおいしくするために加工をするんだよ。加工には熱をかけてアルファ化させたり油をくっつけたりする物理的(ぶつりてき)処理や、化学的にでんぷんの形を変える化学的処理など、いろんな加工方法があるんだ。
こうして加工することによって、でんぷんは形や性質が変化して熱に強くなったり冷蔵や冷凍してもかたくなりにくくなったりするんだ。
加工デンプンの種類
化学的処理された加工デンプン一覧
- アセチル化アジピン酸架橋(かきょう)デンプン
- アセチル化リン酸架橋デンプン
- アセチル化酸化デンプン
- オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
- 酢酸(さくさん)デンプン
- 酸化デンプン
- ヒドロキシプロピルデンプン
- ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン
- リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン
- リン酸化デンプン
- リン酸架橋デンプン
- デンプングリコール酸ナトリウム
日本では、加工デンプンのうち、物理的処理をしたものや酵素(こうそ)処理をしたものは食品として取りあつかわれているよ。一方で、化学的処理をしたものは食品添加物(てんかぶつ)として取りあつかわれているよ。食品添加物として指定されている加工デンプン12品目は、「化学的処理された加工デンプン一覧」の通りだよ。
加工デンプンが使われている食品を紹介するよ。
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酸化(さんか)デンプン
とんかつなどの揚(あ)げ物用バッター液に使われているよ。
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ヒドロキシプロピルデンプン
夏にコンビニエンスストアなどで売られている冷やし麺(めん)に使われているよ。麺(めん)の作りたての食感を保つんだ。
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アセチル化アジピン
酸架橋(かきょう)デンプン
アセチル化リン酸架橋デンプン
ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンソースやタレ、ドレッシングに使われているよ。とろりとした状態を保つんだ。
このほかにも、加工デンプンはさまざまな食品に使われているんだ。みんなも身の回りの食品の表示をたしかめてみよう!
加工デンプンの性質
でんぷんに加工をすることでいろんな機能が追加されることは前の項目で説明したね。今回は、身近な食品によく使われている加工デンプンの性質について説明するよ。
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アルファ化デンプン
加工をしていないでんぷんは、水を加えても溶けないんだけど、アルファ化デンプンは冷たい水にも溶けるように加工したものだよ。パンやケーキミックス、揚げ物のバッターミックスなどに使われているよ。パンやケーキに入れるとしっとりソフトな食感になるよ。
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酸化(さんか)デンプン
水を加えて加熱した時の粘度(ねんど)が低くて安定しているんだ。透明度(とうめいど)も高いから、麺(めん)の打ち粉によく使われているよ。麺をゆでた後のお湯がにごりにくくなるんだ。
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架橋(かきょう)デンプン
熱や酸(さん)に強くて、水を加えて加熱した時に強くかき混ぜたりしても粘度(ねんど)が安定しているんだ。クリームパンのクリーム、タレやソースによく使われているよ。
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酢酸(さくさん)デンプン
水を加えて加熱した時のデンプンの粘度、透明度が高くなるでんぷんだよ。スーパーマーケットなどで見かけるわらびもちや麺類などによく使われているよ。
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ヒドロキシプロピルデンプン
上に書いてある酢酸デンプンよりも、水を加えて加熱した時に、粘度や透明度が高くなるデンプンだよ。麺類やパンなどの冷凍生地をはじめいろいろな食品に使われているよ。
デキストリン
デキストリンってなに?
ブドウ糖という砂糖の仲間がたくさん集まってできたものを「でんぷん」というのを説明したね。(参考 でんぷんってなに?)集まっているブドウ糖の数によって呼び名は違うんだけど、ブドウ糖が数個集まったものから、でんぷんよりもちょっと少ない数まで集まったものをデキストリンというんだよ。
デキストリンは、酸(さん)や熱、酵素(こうそ)を使ってでんぷんを分解することによって作られているよ。このとき、酸や熱、酵素の使い方を変えることで、デキストリンの大きさ(ブドウ糖の数)を調整することができるんだ。大きさや作り方がちがうと、できたデキストリンの性質もちがうんだよ。少し甘味があったり全く甘くなかったり、冷たい水にとけたりとけなかったり、水にとかしたときにサラサラだったりねばねばだったりと、いろいろな種類のデキストリンがあるんだ。
ちなみに、ごはんを食べたときの口やおなかの中でも、酵素の働きででんぷんが分解されて、デキストリンができているんだよ。デキストリンはその後さらに分解されて、ブドウ糖やブドウ糖が二つ集まった麦芽糖(ばくがとう)になって、おなかの中で吸収(きゅうしゅう)されるんだ。
なにに使われているの?
デキストリンの甘味や性質のちがいを利用して、いろいろな食品に使用されているんだ。例えば、タレに使用すると、味を変えることなくトロミをつけることができるんだ。トロミをつけることで、タレが具材に付きやすくなるんだよ。トロミがありながらもさっぱりしていて、口の中でとけて食べやすい食品を作ることができるんだ。
また、つややかな照りをつけることができて、おかきやみりん干しといった乾物(かんぶつ)に利用されるんだよ。他にも、粉末状の食品をお湯や水にとけやすくするために、粉末スープや調味料に使われているんだ。さらに、甘味が少なく水にとけやすいことから、スポーツ飲料などにも使用されているんだよ。このように、デキストリンはいろいろな食品に広く利用されているんだよ。みんなも、身近な食品について調べてみよう!