漬け物の歴史はとても古くて、紀元前3世紀の中国最古の辞書「爾雅(じが)」にも塩蔵品(えんぞうひん)を示す言葉が出てくるんだ。このことから当時も漬け物が存在していたのではないかといわれているよ。
日本では、いつ頃から漬け物を作るようになったのかは、はっきりとはわかっていないんだけど、奈良時代の木簡(もっかん)[注1]には、瓜(うり)や青菜の塩漬けが記録されているんだ。その後、大陸の文化が伝わって、酒や味噌などの調味料が作られるようになって、いろいろな漬け物が作られていったんだよ。室町時代になると、漬け物はいっそう発展していって「香の物(こうのもの)」と呼ばれて親しまれていたんだよ。「茶の湯」でのお口直しや「聞香(もんこう)[注2]」での鼻の疲れをいやすといった大切な役割りも果たしていたんだ。
江戸時代になると全国から多くの人が江戸に集まり、漬け物の調味や作り方に工夫をこらすようになって「ぬか漬け」などの新しい漬け物がたくさん登場したんだ。やがて人々はそれらの漬け物のことを「お新香(しんこ)」と呼ぶようになったんだ。みんなにもおなじみの「たくあん漬け」もこの時代に生まれたんだよ。たくあん漬けは、沢庵和尚(たくあんおしょう)が始めたという説、沢庵和尚のお墓の石がたくあん漬けの重石に似ているという説、「貯え漬け(たくわえづけ)」がなまったという説などがあるんだけど、どれが本当なのかははっきりしていないんだ。
明治時代になると、都市近郊の農家ではたくあん漬けや奈良漬けが大切な副業になって、これが大正、昭和にかけて漬け物製造業へと発展していったんだよ。現在では、健康を考えて塩分を少なくしたものや、漬け物に含まれている乳酸菌も注目されているよ。
注1: |
木簡・・・墨(すみ)で文字を書くために使われた、たんざく状の細長い木の板 |
注2: |
聞香・・・香木(こうぼく)を燃やして香りをかぎ、香木の名前を当てる遊び |
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